売上だけ見ても、原因は分からない。チラシ効果判定/3段階の診断

チラシの反響を「売上」だけで見てはいけない理由

「今回のチラシから、売上はいくら増えたのか」

経営者や事業責任者であれば、チラシやポスティングを実施した後に、当然このように問うはずです。チラシの反響を売上で評価するのはビジネスとして真っ当な姿勢です。

しかし、結果として「いくら売れたか」だけを見ても、なぜその成果になったのか、あるいはなぜ成果が出なかったのかという原因は分かりません。

仮に売上がゼロだったとしても、その裏にはさまざまなケースが隠れています。

・そもそもチラシが誰にも読まれなかったのか ・興味は持たれたが、問い合わせに至らなかったのか ・問い合わせはあったが、契約や購入に至らなかったのか

これらはすべて「売上ゼロ」という同じ結果になりますが、次に直すべき場所はまったく異なります。売上という最終結果だけを見ていると、チラシが失敗だったのか、それとも営業や別の部分に課題があったのかを切り分けることができないのです。

今回は、数字に苦手意識がある経営者の方に向けて、チラシの反響や広告効果測定をどのように捉えるべきか、その基本的な考え方をお伝えします。

売上を見ることは間違いではない

誤解のないようにお伝えしますが、「チラシの成果を売上で見てはいけない」という意味ではありません。チラシの最終目的が、売上、利益、来店、契約などの事業成果であることは間違いありません。最終的な事業成果につながらない広告に価値はないという考えは、多くの経営者が共通して持つ視点です。

しかし、売上はあくまで「最終結果」です。売上という数字だけでは、どこでつまずいたのかを区別できません。

なぜなら、売上は単純に「チラシのデザインやキャッチコピーの良し悪し」だけで決まるものではないからです。売上に至るまでには、実に多くの要素が絡み合っています。

・チラシが対象者の興味を引いたか ・QRコードの遷移先のページ(LP)が分かりやすかったか ・問い合わせフォームが入力しやすかったか ・商品やサービスの価格・特典が適切だったか ・店舗までの距離が遠くなかったか ・問い合わせに対する返信や電話の対応が早かったか ・営業担当者の説明が適切だったか ・希望する日時の予約枠や、商品の在庫が確保されていたか ・検討期間が長い商品(住宅や車、高額なBtoBサービスなど)ではなかったか

このように、チラシの配布から売上に至るまでには長い道のりがあります。売上が少なかったからといって「今回のチラシはダメだった」と決めつけ、チラシだけを何度も作り直していると、見当違いの改善にコストを使い続けることになります。

チラシの反響は段階を経て生まれる

売上というゴールに至るまで、チラシの反響はいくつかの段階を経て生まれます。難しい専門用語ではなく、日常的な言葉でその流れを見てみましょう。

第1段階:接触 チラシがポストに届く、手渡される、あるいは店頭で目に入る段階です。これは「配布された」という事実に近く、実際に内容がしっかり読まれたことまでは意味しません。

第2段階:興味 チラシの見出しや写真、特典(オファー)に興味を持つ段階です。チラシを少し詳しく読む、手元に保管する、家族に見せるなどの行動が含まれます。ただし、この段階での興味をすべて直接計測できるわけではありません。

第3段階:行動 動的QRコードを読み取る、専用のWebページ(LP)を見る、LINEの友だち追加ページへ移動する、電話番号を確認するなど、具体的なアクションを起こす段階です。ここが、チラシからデジタル上で確認しやすい「中間指標」となります。

第4段階:最終反応 問い合わせ、予約、来店、資料請求、申込など、事業につながる直接的な行動が起きる段階です。そしてこの後、商談や来店での接客を経て、最終的な「売上」へとつながっていきます。

広告やマーケティングの世界では、よく「広告KPI」という言葉が使われます。KPIとは、難しく考える必要はなく、「売上というゴールに向かう途中の道しるべ」のことです。最終的な売上だけを見るのではなく、途中の段階(道しるべ)をしっかりと確認していくことが、広告効果測定の基本となります。

実務で見る数字は2つでよい

とはいえ、これらすべての段階を細かく計測・分析しようとすると、時間も手間もかかり、数字が苦手な方は嫌になってしまうでしょう。

そのため、実務においてはまず次の「2つ」の数字を見ることから始めてください。

1. 入口 動的QRコードの読み取り、チラシ専用LPへのアクセス、LINEへの遷移など。これは、チラシを見て興味を持ち、一歩踏み出してくれた「行動の始まり」を示す数字です。

2. 最終行動 問い合わせ、予約、来店、資料請求、申込など。これは、会社がチラシによってお客様に起こしてほしい「具体的な行動」を示す数字です。

この「入口」と「最終行動」、そして最終的な「事業成果」を並べることで、途中のどこに課題があるのかを診断しやすくなります。

確認する段階見る数字の例分かること入口QR読み取り、LPアクセス興味を持って一歩進んだか最終行動問い合わせ、予約、来店具体的な行動につながったか事業成果契約、購入、売上、利益事業として成果が出たか

売上と途中の数字を一緒に見ることで、改善の糸口が見えてきます。この表のように段階を分けて記録を残すことが、ポスティングの反響率を改善する第一歩になります。

売上だけでは分からない3つのケース

入口と最終行動、そして売上を分けて見ると、どのようなことが分かるのでしょうか。3つのケースを切り分けてみましょう。

ケースA:入口が少ない 動的QRコードの読み取りやLPへのアクセス自体が少ないケースです。考えられる課題は以下の通りです。

・チラシの見出しが弱い ・対象者とチラシの訴求が合っていない ・QRコードを読むメリットが伝わっていない ・QRコードが小さい、見つけにくい ・配布エリアや媒体が合っていない

このケースでは、Webサイトの改善や営業方法を見直すよりも、まず「チラシの紙面(入口)」や配布エリアを改善する必要があります。

ケースB:入口は多いが、最終行動が少ない QRコードはたくさん読まれているのに、問い合わせや予約につながっていないケースです。チラシ自体は一定の興味を生んでいる可能性があります。考えられる課題は次の通りです。

・遷移先がホームページのトップページになっており、迷子になっている ・チラシで伝えた内容とLPの内容が一致していない ・料金や条件が分かりにくい ・問い合わせフォームの入力項目が長すぎる ・行動ボタンが多すぎて、何を押せばいいか分からない

このケースでは、チラシを全面的に作り直す前に、QRコードの遷移先ページや申込導線を確認し、ハードルを下げる工夫が必要です。

ケースC:最終行動はあるが、売上が少ない 問い合わせや予約はしっかり発生しているのに、実際の契約や購入(売上)につながっていないケースです。考えられる課題は次の通りです。

・チラシの価格訴求と、実際の顧客の期待が合っていない ・対象外の顧客から問い合わせが来ている ・問い合わせに対する営業の折り返し対応が遅い ・予約枠や在庫が不足しており、機会損失が起きている ・商品の検討期間が長く、まだ売上が立つタイミングではない

この場合は、広告のデザインや導線だけでなく、問い合わせ後の営業対応や運用体制そのものを確認する必要があります。

中間指標だけを成果にしてはいけない

ここで一つ、非常に重要な注意点があります。「アクセス数やQRコードの読み取り数が増えただけで、チラシが成功したと断定してはいけない」ということです。

中間指標は、最終成果の代わりではありません。アクセスが多くても、問い合わせにつながらなければ導線の改善が必要です。チラシからの問い合わせが多くても、最終的な利益につながらないのであれば、ターゲット設定や特典を見直さなければなりません。

売上だけでは原因が分かりませんが、中間指標だけでも事業成果は判断できません。両方を並べて比較することで、初めて「どこを直せばいいのか」という改善箇所が見えてきます。

見る期間を揃える

売上だけでチラシを判断するときに起こりやすい問題として、「時間差」があります。

たとえば、高額な商品、住宅、リフォーム、法人向けのサービス(BtoB)、教育サービスなどは、チラシを見てすぐに契約になるとは限りません。チラシを見てから数週間、あるいは数ヶ月後に問い合わせがあり、そこから商談を経てようやく売上になることも多々あります。

そのため、チラシの効果測定を行う際は、「配布後7日間」「配布後14日間」「配布後30日間」など、確認する期間をあらかじめ社内で決めておく必要があります。期間を揃えて記録しなければ、前回と今回のチラシを正しく比較することができません。

明日からできる最小の実践

チラシの反響率を改善していくために、難しい分析ツールや高度な知識は必要ありません。まずは、明日から以下のステップを試してみてください。

  1. 今回のチラシの最終目的(事業成果)を1つ決める
  2. 「入口」として見る数字(QR読み取り数など)を1つ決める
  3. 「最終行動」として見る数字(問い合わせ数など)を1つ決める
  4. チラシ配布後、決めた期間が経過したら「入口」「最終行動」「売上(契約数)」を3段階で記録する
  5. 記録した数字を見て、どの段階で数字が大きく減っているかを確認する
  6. その結果をもとに、次回に向けて直す場所を「1つだけ」決める

まとめ

チラシの最終目的として、売上を見ることは絶対に必要です。ただし、売上だけでは「なぜその結果になったのか」という原因は分かりません。反響は段階を経て生まれます。入口、最終行動、売上を分けて記録してください。

中間指標(入口や最終行動)は、最終成果の代わりではなく、改善箇所を見つけるための診断材料です。どこで反応が止まったかが分かれば、次に変える場所を絞ることができます。

チラシは、ただ「売れたか売れなかったか」を判断するギャンブルではありません。途中の数字を記録し、比較することで、次回につながる学びを残す「成長する広告」に変えることができるのです。

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