近年、SNSなどのソーシャルメディアが普及しデジタル化が急速に進んでいます。
その影響か、チラシを用いた紙媒体の広告はもう効果が低くなっていると思われがちです。
しかし、今でも「ポスティング」は効果的な販促ツールとして活用することができるんです。「ポスティングをしているけどいまいち効果が出ない…」という場合は何か原因があるのかもしれません。
デザインや配布方法などの「ポイント」を抑え、しっかりと効果測定を行うことで、Webなどの広告同様に広告効果を高めることが可能です。
今回の記事ではこの「ポイント」について詳しく解説します。
ポスティングとは
「ポスティング」とは、チラシなどを各家庭のポストに直接投函する行為のことです。
同時に、サンプルなどチラシ以外のものを配布することも可能です。
配布枚数としては、一般的に1人当たり1時間で100〜300枚と言われています。地域によって大きく差が出ますが、建物が密集している地域なら300枚程度、建物がまばらであれば100〜200枚ほどを配布することができます。
ポスティング・チラシの効果やメリット・デメリット
ここから、実はたくさんあるポスティングの効果やメリットについて解説していきます。
効果とメリット
チラシをポスティングする主なメリットは、以下の7点です。
①即効性が高い
ポスティングは、効果が目に見えるのが早いです。
ポストにチラシを好んでため込む人は少なく、1日1回はポストを見る習慣がある人が多いと思います。そのため、ポスティングは配布した日に見てもらえる可能性が高いです。
②認知していないユーザーにリーチできる
広告には、PUSH型広告とPULL型広告の2種類が存在します。
ポスティングは、広告主側のタイミングで情報を伝え、ユーザーは意思に関係なく情報を受け取るマーケティング方法、プッシュ型広告に属します。ユーザーの認知に関わらず、一方的に情報をリーチできることは、ポスティングのメリットの1つといえます。
③タイミングやエリアの自由度が高い
チラシは、配布したいエリアとタイミングを指定できることがメリットの1つです。
(地域によって規定がある場合もあります)
他の広告と比較しても、ポスティングはセール日当日など、1番理想とするタイミングでポスティングすることができます。
また、エリアだけでなく物件別といった細かい指定をして配布することも可能です。細かく指定することで、無駄な配布によるコストを防ぐことに繋がります。とくに、地域に密着した飲食店や美容院などは、店舗の周辺に特化して宣伝する必要があるため、ポスティングはより効果を望める集客方法になります。
④リーチできる年齢層が広い
ポスティングの他にあるチラシの配布方法が新聞折込。
折り込みチラシの場合、ターゲットは新聞購入者に限定されます。新聞購読者は、比較的年齢層の高い世帯が多いため、その世代と相性のよい商品を紹介する際に折り込みチラシは効果を発揮します。
一方で、ポスティングはどの世代にも配布することが可能です。ターゲットに若い世代も含まれている場合、ポスティングの方がより高い効果を見込めるでしょう。
⑤保管性が高い
チラシは紙媒体なので、デジタルメディアと違いすぐに消えてしまうことがありません。
チラシを見るために、パソコンなどといった媒体も特に必要ありません。
インターネット上の広告は、1度目のサイト訪問率が高くても、そのページを受け取り手が保存しておかなければ、後日再度サイトに戻って来てもらうのが難しいです。
対して、紙に印刷された広告であれば、受け取った人の都合でいつ読むかを決められます。 とりあえず家に置いておけば、気が付いたときに見返すことができるのです。
すぐに読んでもいいし、1週間後に読み返すこともできます。誰でも簡単に保管でき、再び見てもらうことが可能なのです。
⑥視認性が高い
実際に手元に渡る紙媒体の広告は、さりげなく映るネット広告などと比較すると目にとまりやすい傾向にあります。中でもポスティングは、たとえ目的が捨てるためだったとしても、ポストから取り出す際、確実に一度手に取ってもらうことが可能です。そこで興味を引くことができれば読んでもらえます。
新聞折り込み広告のように、他のチラシと紛れることもありません。自社のチラシだけに注目してもらえる時間を獲得しやすいのです。
⑦冊子やサンプルも投函できる
意外と知られていませんが、実はポスティングでは、他のアイテムもセットで配ることができるんです…!試供品やポケットティッシュ、パンフレットやマグネットがポスティング可能アイテムの代表例です。
ポスティングで重要なことは、「すぐに破棄されないための工夫」です。
ただチラシを配布するよりも、日常利用できるアイテムのほうが、破棄される確率が下がります。いずれもポストに入るサイズであることが条件となるのでそこは注意が必要ですが、紙以外のものが投函されていると、自然と目に止まりますし、興味を持ってもらいやすいです。
デメリット
デメリットは、配布数が限定されることです。ポスティングをするには、一軒ずつ配る必要があります。配布数を多くしようとすればするほど、折り込みチラシより手間も人件費もかかってしまいます。そのため、費用対効果を見極める力が必要になります。
また、新聞折り込みよりも広告媒体としての信頼度が低い点もデメリットのひとつといえるでしょう。
ポスティング・チラシの反響率
反響率は、
(反応があった数)÷(配布したチラシの数)× 100
で求められます。
ポスティングの反響率は、おおよそ0.01%〜0.3%といわれています。
配布のタイミングや、業種によって反響率は大きく変化します。
そのため、反響率と利益を予め計算をし業種別の平均的な反響率と比較したり、配布したエリアごとの反響率のデータを分析して効果を検証していくことが必要です。
また、効果を測るもう1つの指標として、「ROI」(費用対効果)というものがあります。
ROIとは、投資によってどれだけ利益を回収できたのかを示す指標で、
{(成約数)×(平均利益単価)-(チラシ料金)}÷(チラシ料金)× 100
で算出できます。
ROI値が高ければ高いほど、費用対効果が高いということになります。
「反響率」と「ROI」は、実施継続の可否や改善策の検討の参考になります。ポスティングを行う際は、これらを算出し利用することが重要です。
ポスティングの種類と費用
ポスティングは、その配布方法に応じて2種類に分けられます。
どちらもチラシとして効果が見込めますが、特徴や費用が異なってきます。
種類
ポスティングは、配布方法に応じて2種類に分けられます。
「全戸配布(ローラー配布)」と「選別配布」です。この種類によって特徴や費用が変わってきます。
まず、全戸配布とは、配布エリア内にある建物に無作為に配布をする方法です。
ターゲット以外の人に配布してしまい、クレームに繋がる恐れがある点がデメリットですが、幅広く商圏内のターゲットにリーチすることができ、配布単価も安い特徴をもっています。短時間で大量のチラシを届けたい方にぴったりの配布方法になります。
対して選別配布とは、範囲エリア内の特定の建物(戸建て・マンション・企業等)に限定して配布する方法です。広く周知してもらうことが難しく、コストも高くなりがちではありますが、狙ったターゲット層に効率よく情報を届けることが可能です。無駄打ちを抑えられるため、反応も得られやすい配布方法です。
費用
ポスティング配布にかかる費用は、配布方法によって異なります。
費用の相場はそれぞれ、
- 全戸配布の場合1枚3-6円
- 選別配布の場合1枚5-10円
程度です。
加えて、2-5万程度のデザイン費や1枚2-3円程度の印刷費も必要経費として必要になります。また、配布を業者に委託する際は、エリアや期間を指定することで別途追加費用がかかることもありますので注意が必要です。
ポスティング・チラシの効果を上げる方法
これまでにお話したように、ポスティングには、メリットデメリット・費用と手間がかかります。せっかく配布するなら、より高い効果を得たいですよね…!
その為に抑えておくべきポイント7選をここからご紹介します。
自店がポスティングに向いているか検討する
まず、そもそもチラシを出そうとしている自分のお店/サービスがポスティングに向いているのかを確認しましょう。
ポスティングの効果が得やすい企業は、全国展開する企業よりも地域密着型の企業です。
ポスティングは、インターネット広告など不特定多数に訴求する形式とは異なり、エリアや条件を細かく選定するので、地域密着型の企業と相性がいいです。
例)飲食店 美容室 不動産 塾 引っ越し
対して、大型のショッピングモールやテーマパークといった、広い範囲を商圏とする業種や、希少性・独自性の強い商品/サービスでは、効果を得るのが難しいです。数十万、数百万といった大きな単位でのポスティングは、理想とする効果を得るまでに手間と時間がかなりかかってしまいます。
初めてポスティングを検討している方は、特定のエリアに配布できるというメリットが活かせるかどうかで実施の判断をしてみるのもおすすめです。
ターゲットと目的を明確にする
ポスティングを通して、得たい効果をできるだけ具体的に明確にすることで、ターゲットの絞り込みや施策の立案がしやすくなります。
まず、ポスティングをする目的を定めましょう。
新規顧客を獲得したいのか、既存顧客のリピート率をアップさせたいのか、この2つでも売り出しポイントは大きく異なります。配布エリアやチラシのデザインもこの目的に合わせて改善していくことで高い効果が得られやすくなりますので、「目的」はあらかじめ決めておきましょう。
次にターゲットの選定です。
ターゲットは、ピンポイントかつ具体的な内容のほうが特定のユーザに刺さりやすくなります。
例えば…
- ダイエットしたい人
- 3か月後までに5㎏痩せたい人(即効性)
- 1年かけて、今後リバウンドしないように痩せたい人(持続性)
この3つを比較すると…
①よりも②・③の方が明確で、濃いニーズを持ったターゲットに訴求できます。
また、②と③では「ダイエット」という目的は同じでも具体的なニーズが違うので、求めるサービスが違ってきます。
沢山の方にアピールできるようなチラシよりも、②や③のように狭く深いターゲットに訴求することで、「自分に合っている商品だ!」とユーザーの興味を引くことができます。
具体的な顧客像を想定することで、競争力の高い商品やサービスになるのです。
以上のことから、ターゲットと目的を明確にすることは、ポスティングの効果を上げる上で最も重要なポイントの1つといえるでしょう。
エリアを選定する
ターゲット・目的と同様に、配布エリアも明確に選定することが大切です。
リーチしたターゲットに高い確率で配布できるよう、あらかじめターゲット層がどんな地域に住んでいるか、配布エリアが商品の需要に適応しているかどうかを見極めましょう。
さらに、選定した地域の特性とニーズを事前に調査しておきましょう。
その地域にどんな人や世帯が住んでいるのか、人口や世帯数・年齢層や男女比・職種や年収を調査しておくと良いです。
狙ったターゲットにピンポイントのエリアで配布することで、無駄な配布枚数を減らすことができ、結果的に費用対効果を高めることができます。
具体的なエリアの事前調査方法として、
- 1度自分でポスティングを行ってみて、その結果から地域の特徴を把握する。
- ショップ・お店の場合は、店舗から1km(or500m)圏内に配布する。
- ライバル店の位置を把握する。
などがあります。ご自身のお店やサービスに活かせそうな方法がありましたら是非試してみてくださいね。
ポスティングする時間帯と曜日
配布する時間帯と曜日を工夫することも、ポスティングの効果を高める方法の1つです。
ポストの中にたくさんのチラシが入っていたら、他のチラシに紛れて見てもらえない可能性が高いです。しかし、チラシが1枚しか入っていなかったら…確実に目に留まります。
週末は、比較的チラシの量が多くなりがちです。最も見てもらいたいタイミングは週末かもしれませんが、せっかく配布したチラシが他のチラシに紛れたり、他のチラシとともに捨てられてしまうのはとてももったいないですよね。
そのため、ポスティングの狙い目は日曜日〜水曜日といわれています。
また、ターゲットに合わせて曜日や時間帯を決めるのもおすすめの方法です。
例えば、
①働き手である社会人がターゲットの場合
⇒心に余裕がなくなる月曜日は避け、家にいる夕方以降の時間に投函する。
②高齢者層がターゲットの場合
⇒朝早く予定を済ませる方が多い傾向にあるため、平日の午前中に投函する。
③主婦・主夫層やファミリー層がターゲットの場合
⇒せわしない朝ではなく、一息つける午後2〜4時に投函する。
このように、ターゲットや他社のポスティングの傾向から、配布する曜日や時間帯を慎重に決めることが大切です。
デザイン・掲載内容を工夫する
せっかくいろいろな工夫をしてポスティングをしても、読んでもらえなければ効果を得ることが出来ません。
「チラシ」において読んでもらえるデザインとは、視覚的にすぐに伝わるデザインです。
セールスポイントは1つに絞り、いろいろな商品やサービスをPRするのではなく、見る人の心をつかんで興味を持ってもらえるようなチラシになるように心掛けましょう。
売りとなる強みを目立たせてライバル店との違いを強調するなど、意外性や簡易性があると訴求力が高まる傾向にあります。
また、ターゲットの感性に合わせたデザインにすることも重要です。フォントや配色で、ゴミ箱行きにならないチラシ作成を目指しましょう!
そのために、キャッチコピーを作って目立たせるのも1つの手です。
「〇〇在住の方!」と、あなたがターゲットです!と分かりやすく伝えたり、
「今月末まで限定!」など、”今”行動しなきゃと思わせること、
「地域No.1」など、納得させる具体的な数値や写真を使用することでより魅力的なキャッチコピーになります。
効果測定を行う
ポスティングは、チラシを投函したら終了ではありません。
特にポスティングの場合、チラシを配ったからといってどれだけの人が目を通しているかは不透明になりやすいです。ですので、実施後は必ず効果測定を行いましょう。
チラシの内容と配布日、配布部数、配布エリアなどのデータを基に、どのくらい反応があったか集計することで、反応率の高いエリアや配布時期などが特定できます。次回以降の改善に役立てられるように、ターゲットなどのデータも保管しておくようにしましょう。
以前効果測定について詳しく解説した記事がありますので、
具体的な効果測定方法が知りたい方は、こちらの記事を是非参照ください!
【ツールも紹介】チラシの効果測定と事例を交えた改善方法の考え方
継続して配布する
ポスティングは、1度配布して終了!ではなく、繰り返すことが大切です。
何度も繰り返し配布することで、いつのまにか名前を覚え、親しみや好意を抱くようになる単純接触効果が生まれます。認知度や好意度が上がると、それが来店率向上につながります。
効果測定や反響率に合わせて根気強く改善を繰り返すことで、より効果の高いポスティングが可能になるのです。
ポスティングの流れ
ポスティングの行い方には、専門業者に外部委託する方法と、自社のリソースを使う2種類が存在します。
外部委託先を選ぶポイント
外部委託する場合、専門業者は「コンテンツごとの最適な配布のタイミングや、メディアの効果的なプレゼンテーション方法など、ノウハウの蓄積があるかどうか」で選択しましょう。
逆に、依頼されたチラシを配るだけで広告効果を高める方法を提案してくれない業者では、依頼する意味があまりありません。
また、その業者が配布エリアの特性をしっかり把握しているかどうかも重要なポイントです。
外部委託した場合の流れ
ポスティングを外部に委託した場合、打ち合わせから配布まで平均10日〜1週間かかります。チラシの内容やデザイン、印刷のスケジュールを踏まえると、配布の1か月前には準備に取り掛かる必要があります。
まず、初回の打ち合わせにて、配布の目的・ターゲットを伝え、配布エリア・配布枚数などを提案してもらい、見積書をもらいます。
そして、配布予定日の3~4日前までに納品し、
配布完了後、業者から報告書を提出してもらい、結果を検証します。
外部に業務委託した場合は、このような流れでポスティングを進めます。
自社で配布する場合
自社で配布する場合は、委託の費用が掛かりませんし、外部と連携をとる手間がいりません。
しかし、配布をアルバイトやパートに任せる場合、明確なエリア設定と出来高に応じた報酬金など、モチベーションを維持するための工夫が必要になります。残念ながら、ポストに投函すべきチラシをゴミ箱に破棄されるケースも確認されていますので、抜き打ち検査など配布されているかのフォローアップを考えておきましょう。
また、自社配布の場合は、ポスティング実施後、効果測定を正確に行えるような専門的な知識を持った人材も必要不可欠になります。
チラシの効果測定と改善方法のご提案
ここまで、ポスティングについて様々な角度から解説してきました。
ポスティングには、重要視すべきポイントが数多くあります。実施後の効果測定をいかに正確に行えるか、そしてその結果をいかに次のチラシ作成に活かせるかも肝心です。
実際に長期的な対策が必要になるポスティング・チラシ作成の効果を上げ続けるには、時間も労力も要します。
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ネットよりも紙媒体を使用する傾向の高い高齢者など、ターゲットによっては、かえってチラシやポスティングの方が良い場合すらあります。
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